はじめに

R は、様々な統計を行うことができるプログラミング言語である。 R はオープンソースであるため、多くの人々が開発に協力している。R は、基本ソフトウェアである R 本体に、パッケージを追加することで機能を強化している。

ネットワークメタ分析 (network meta-analysis, NMA) は、メタ分析の一種で、複数の治療方法をネットワークとしてとらえ、直接比較および間接比較を行う手法である。メタ分析のアウトカムは連続値や二値などさまざまで、それぞれ計算方法が異なる。

NMA の方法論には、大きく分けて頻度論的 (Frequentist) 手法と、ベイズ的 (Baysian) 手法に分けられる。両者は大きく異なるため、パッケージも分かれている。

これまで、R における NMA の解説は、インターネット上や論文にあるが、頻度論的 NMA とベイズ的 NMA を、複数のアウトカム形式でまとめて実装を示したものは、英語でも日本語でも存在しなかった。

本レポートは、平均差、標準化平均差、オッズ比、リスク比を取り上げ、頻度論的 NMA とベイズ的 NMA の両方について、データの準備、データ加工、結果の要約、整合性の検証、Network plot、Forest plot、SUCRA plot の作成までの実装について体系的に示す。